パルファン・グランプリ表彰式&創作秘話

パルファン・グランプリ2013で、アロマコラージュ療法開発者が最優秀賞を受賞しました。

パルファン・グランプリは香りのコンクール。

天然香料、合成香料、調合香料で調合したオリジナルフレグランスを、日本、およびパリの審査委員会が、香りの美しさ、創造性、ネーミング、コンセプトなどにより総合的に審査。

最優秀賞1名、優秀賞2名が選ばれました。

 

 

表彰式&昼食会

12月22日(日)、東京の帝国ホテル17階インベリアルラウンジ・アクアにて表彰式&昼食会が開催されました。

 

審査委員の新間美也氏(左下写真)から賞状と賞品の目録を賜りました。

賞品は応募作品「水の砂漠」を製品化したオードトワレ100本。

来年届けてくださるそうですが、この日は参加者全員にひと足早くプレゼントしてくださいました。


新間氏からは、日本・フランス両国での審査の様子についてお話がありました。

フランスではフレグランスはプロの調香師が作るものであり、

こういったコンクールはなく、フランス人の審査委員の方々から驚きをもって受け止められたとのこと。

さらに応募作品が自由な発想で作られていることに対し高い評価が得られたそうです。

このような分不相応の賞をいただき感謝の念でいっぱいなのですが、

それにも増して嬉しかったのが、香りをとおした交流。

優秀賞を受賞された相川理絵氏、山崎恵美子氏の受賞作を鑑賞したり、

新間氏を囲んで皆さまの海外でのご体験についてお話を伺ったり。

相川氏の「Bamboo」、山崎氏の「Isis」、筆者の「水の砂漠」を試香できるコーナー。
相川氏の「Bamboo」、山崎氏の「Isis」、筆者の「水の砂漠」を試香できるコーナー。
左から新間氏、相川氏、山崎氏。
左から新間氏、相川氏、山崎氏。

調香をこよなく愛する皆さまと語らい合えたひとときは本当に夢のようでした。

どこか異次元にいるかのように感じたのはシャンパンに酔ったせいではなく、、

調香という耽美な世界、海外を飛び回る皆さまの自由な雰囲気に酔いしれたからかもしれません。

しみじみと幸福感に浸っておりました。

 

こういった場に導いてくださった新間氏はじめとする主催者の皆さま、

お目にかかり、その後、メールでご連絡くださった皆さまに心より御礼申し上げます。

手前

右から2番目が新間美也氏、

左端が優秀賞受賞・相川理絵氏、

隣が筆者。

 

中央

左から2番目が優秀賞受賞・山崎恵美子氏。

 

右上

事務局の高橋雪恵氏。

受賞作品、創作秘話

受賞作「水の砂漠」はアロマコラージュ療法から生まれました。

 

コンクールのことを知ったのは今年8月のこと。

 

アロマコラージュ療法は、精油でフレグランスを作り、

その香りをコラージュで表現するアートセラピーです。

2009年に考案して以来、試行錯誤しながらゼロから実施手順に改良を加えてきました。

セラピーとして確立し、さまざまな効果も明らかにされてきたことから、

アロマコラージュセラピストの養成を始めることにしました。

養成講座開始前に、一度きちんとフレグランスの基本について学んでおきたいと、

昨年9月、フランスのパリ、グラースで研修を受けました。

 

この研修をきっかけに昨年12月より本格的に調香の勉強を始めました。

アロマコラージュ療法とは異なるプロセスで創作する調香の世界に魅せられ、

夢中になって勉強を続けてきました。

だからコンクールのことを知ったとき、必ず応募しようと思いました。

 

期限までかなり間があり、どんな香りを作るかまでは具体的には考えていませんでした。

でもなぜか、何となく、いつの頃からか、

香水「水の砂漠」、コラージュ「静寂」をコンセプトに作ろうと決めていました。

今年1月、新年最初の新月に作ったアロマコラージュ作品です。

 

よほど印象的な作品だったのでしょう。

そのときの作品についてはブログに記しています。→こちら

 

いつもそうですが、アロマコラージュ療法を体験した後は、

コラージュをリビングに飾り、香水を鑑賞しながら過ごします。

このときもそうでした。

新しい作品ができるたびにリビングに飾る作品が入れ替わります。

いつしか新しい作品にとって代わり、

「水の砂漠」や「静寂」を鑑賞することはなくなりました。

 

コンクールの提出期限が近づいてきた10月、

コラージュ「静寂」を引っ張り出し、目につくところに飾り、眺めるようになりました。

 

ですがなかなか創作には取りかかれませんでした。

9月に体調を崩して入院し、さらに10月中旬頃、重たい出来事があり、

エネルギーがすっかり枯渇し、何もやる気が起こらなくなってしまったからです。

 

その間も、ずっとコラージュ「静寂」を眺めて過ごしていました。

 

いよいよコンクールの期限が2日後に迫り、調香に取りかかりました。

コンセプトは10分で書き終えました。

というか、コラージュ「静寂」を眺めながらコンセプトは出来上がっていたのだと思います。

あとはそれをどうレシピで表現するかでした。

 

夜明け前の濃い藍色の海と空。

しんとした景色のなか、海と陸の境界である波打ち際で瞑想するわたし。

海の底、いや地の底から香りが湧き上がってきてわたしを満たした後、

香りはそのまま空へと昇っていく。

やがて空が紫色へと変わる。

そんな静かな風景、水のような大地のような香り、いつしか満たされていく自分を表現しました。

 

調合を終えると、ろくに鑑賞もできぬまま作品を封筒に詰め、宅配に出しました。

だからお電話で受賞の報せを受けたときは、ただただ驚きました。

わたしでよいのだろうかと戸惑うばかりでした。

 

受賞の報せは、この秋、重苦しく覆っていたものを晴らしていくのに十分な歓びをもたらしました。

手許に作品が残っておらず、どんな香りだったのか忘れてしまっていたため、

レシピに従ってもう一度作ってみました。

毎日「水の砂漠」を嗅ぎながら、コラージュ「静寂」を眺めて過ごしました。

あるとき、ハッとしました。

この1年、こういった心持ちで過ごせばよかったのだということに気づいたのです。

 

今年はまわりからの要求と批判にさらされた1年でした。

それが最高潮に達したのが10月中旬だったのです。

香水「水の砂漠」とコラージュ「静寂」は、

そんなときにどう過ごせばよかったのか、

心の持ちようを教えてくれていたのです。

 

要求と批判の根っこは同じところにあります。

人からエネルギーを奪い取ることです。

要求や批判はとどまることがありません。

自己の満たされなさを他者で埋めることなどできないのですから。

どこまでもエスカレートしていきます。

 

だから要求や批判にさらされたときは、

過剰適応するのではなく、むしろ静寂のなかで過ごせばよいのです。

深い深い藍色の海と空のように。

海底に沈む遺跡のように。

潤う「水の砂漠」の上にどっしりとグラウンディングし、

いついかなるときも内なる自分とつながって過ごす。

あるがままに受け止める。

グラウンディングし自分とつながっていれば

大地からも海からもエネルギーがもたらされ、

どんな状況にあってもエネルギーが枯渇することはありません。

天(右上の仏像)も見護ってくれています。

出口なきように見えていた暗闇は、実は夜明け前の最後の暗さで、

ただそこでじっとグラウンディングして過ごしていさえすれば、

やがて紫色の光が射し、自然と夜は明けていくのです。

黄金に輝く香水瓶は、まるで1年の最後にもたらされる

グランプリを暗示しているかのようです。

ええ、確かに。

賞品のオードトワレの瓶は丸く、中身は黄金色でした。

 

新年新月に作った香水「水の砂漠」とコラージュ「静寂」は、

この1年を見事に凝縮して表現し、

作り手である本人(わたし)にどう過ごせばよいか既に教えてくれていたのです。

 

そして自分ではとうてい成し遂げられなかったであろう

コンクール最優秀賞というご褒美まで用意していてくれたのです。

報せは11月18日、満月の日にもたらされました。


2013年1月13日、逗子で開催した<新月のアロマコラージュ>で作った作品。

 

フレグランス 「水の砂漠」

コラージュ   「静寂」

アファメーション 「わたしは静寂のなかにいます」「わたしは護られています」

 

アロマコラージュで作った初代「水の砂漠」は低い、低い、とても低いお香のような香り。

かすかにしか感じない水のような香り。それでいてどこか土臭い。

そんな香りを手がかりに無心で雑誌のページをめくりました。

なぜか藍色の写真ばかりが目につきました。

コラージュ手前に貼った写真のさざ波を見た瞬間、「水の砂漠」というネーミングが浮かびました。